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第三章・11

「おおおおのれ、ガンガラ!」 「ジンガラ、です」 「解かっておる!」  二人は駐車場へ向かい、車に乗って出てしまった。  走って後を追おうとするフォルツァの腰に必死でしがみつき、侍従はタクシーを停めた。 「あの車を追ってくれ」  そして、胸ポケットの黒い手帳をちらりとのぞかせて見せた。  はるか昔、テレビドラマで見たことがあるのだ。  こうすると、タクシーの運転手は……。 「お客さん、刑事さんかい? よっしゃ、まかせとけ!」  この場合、どう見てもフォルツァは捕まった犯人にしか見えないのだが、侍従はそこは伏せておいた。  二台の車は、遊園地に向かって走った。  人ごみの遊園地の中に紛れて、パッサカリアをジンガラから引きはがし奪還する、という作戦が、侍従の練った案だった。  平日ではあるが、それなりに人の多い遊園地。  その気になれば、諜報員の手であっというまにさらってしまえる。  ただ一つ問題なのが……。 「ふっふっふ。今のうちに浮かれているがいい。すぐにこの手で、パッサカリアを奪い返してみせるわ!」  フォルツァ国王自らが、やる気満々でいる点だ。  今この時、邪魔者以外の何でもないのだが、彼にそれは解からない。

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