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第三章・16

 あんまりみっともない姿は見せられねえな、とジンガラが声を呑み込み我に返ったところで、もの凄い悲鳴が後ろの席から聞こえてきた。 「おぉおう! ほぉおおッ、ご! フォオォオオオオ!」 「また、あの危ねぇ兄ちゃん!?」    パッサカリアのストーカーにでもなったら大変だな、とジンガラはそろそろ帰ることにした。  隣には、楽しそうに笑うパッサカリアがいる。  これであの、怖い夢のことも忘れることができただろう。  ゆっくりとホームに滑り込んだジェットコースターから降りると、パッサカリアはとんでもないことを言い出した。 「ね、もう一回乗ろう!」 「ややや、ダメ。もう、おしまい!」  危ねぇ兄ちゃんがいるから、と頭の中で思いつつ彼の姿を探してみると、ホームの隅でげぇげぇ言っている。巻くなら、今のうちだ。 「もう帰ろう、パッサカリア。充分楽しんだろ?」 「うん~」  ジェットコースターは諦めたパッサカリアだったが、どうしても乗りたいものがあと一つだけ残っている。 「じゃあ、最後にあれに乗りたい」 「観覧車、か」  確かにあれに乗らねば遊園地ではないだろう。じゃあ、あれで最後、と二人で観覧車へと向かった。 「陛下! 大丈夫ですか!」 「おぉお……ぅげッ! ぉげぇええッ!」  もはや、パッサカリア様奪還どころではない。  侍従はフォルツァを背負うと、救護室へと駆け出した。

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