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第三章・21
ロマンチックな、観覧車でのひととき。
優しい、穏やかな時間。
あぁいうシチュエーションも、いいかも。
一転して、緩やかな愛撫に切り替えた。じっくりとキスをしながら、静かに腰を抱いた。
ゆっくりと白い太腿をさすり、そっと性器に手を伸ばす。
「んっ、あ。ジンガラ……」
「どう? 感じる?」
思いきり甘い声で囁いた、つもりだった。
だがしかし。
「もっと。もっと……あぁん、もっと。来て、早く……」
あらら、何て事。
どうやら王子様は、やっぱり観覧車よりジェットコースターの方がお気に召したらしい。
「おぉおし! 今夜は、急上昇急降下急回転で寝かしてやんない!」
「あぁあッ! あッ、はぁッ、あぁあん!」
ぎしぎしと激しく軋むベッド。
窓からは、月の薄明かりが入り込んでくる。
その空に点滅する、夜間飛行の赤いランプ。
二人が何も知らない間に、フォルツァは特別機で夜空を飛んで行った。
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