78 / 104
第四章・3
瀕死の重傷。
まるで、人間に使うような言葉でパッサカリアは植物たちをそう表現した。
やはり、彼が世話をしてくれたのだ。
それにならって、ジンガラもニッコリ笑うとこう言った。
「見事に蘇生させるなんて、大した名医だ」
「植物だって、人と同じだよ。喜び悲しみ、怒り笑うんだ」
話はそれきりで、パッサカリアはふいと室内へ戻って行った。
そして、ジンガラもこの時はそれほど深く考えはしなかったのだ。
「グリーンとか、好きなのかな」
ただ、軽い気持ちでそう思い、またひとつ見つけたパッサカリアの秘密を嬉しく感じた。
それなら、今度園芸店にでも一緒に行って、好きなものを買ってあげよう、それくらいの事しか考えなかった。
室内へと消えたパッサカリアを追って、いそいそと傍に寄る。
「ねねね、パッサカリアちゃん♪ モーニングエッチしない?」
全く、とパッサカリアはジンガラをやれやれといった表情で見た。
昨晩も、あんなに激しかったのに。
立派に朝勃ちしてるなんて、呆れるを通り越して見事な性欲だ。
「イヤ。朝からすると、一日体がだるくて動けなくなる」
「ケチ~」
でも、ジンガラもまんざらでもない顔つきで抱きしめてくる。
まだぬくもりの残るベッドにもう一度体を投げ出し、二人頬を寄せ合った。
ジンガラの頬に、顔を擦り付けるのは好きだ。
ともだちにシェアしよう!