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第四章・3

 瀕死の重傷。  まるで、人間に使うような言葉でパッサカリアは植物たちをそう表現した。  やはり、彼が世話をしてくれたのだ。  それにならって、ジンガラもニッコリ笑うとこう言った。 「見事に蘇生させるなんて、大した名医だ」 「植物だって、人と同じだよ。喜び悲しみ、怒り笑うんだ」  話はそれきりで、パッサカリアはふいと室内へ戻って行った。  そして、ジンガラもこの時はそれほど深く考えはしなかったのだ。 「グリーンとか、好きなのかな」  ただ、軽い気持ちでそう思い、またひとつ見つけたパッサカリアの秘密を嬉しく感じた。  それなら、今度園芸店にでも一緒に行って、好きなものを買ってあげよう、それくらいの事しか考えなかった。  室内へと消えたパッサカリアを追って、いそいそと傍に寄る。 「ねねね、パッサカリアちゃん♪ モーニングエッチしない?」  全く、とパッサカリアはジンガラをやれやれといった表情で見た。  昨晩も、あんなに激しかったのに。  立派に朝勃ちしてるなんて、呆れるを通り越して見事な性欲だ。 「イヤ。朝からすると、一日体がだるくて動けなくなる」 「ケチ~」  でも、ジンガラもまんざらでもない顔つきで抱きしめてくる。  まだぬくもりの残るベッドにもう一度体を投げ出し、二人頬を寄せ合った。  ジンガラの頬に、顔を擦り付けるのは好きだ。

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