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第四章・4
擦り付けてくるパッサカリアの頬に、ジンガラは大きな掌を当てキスをした。
シミひとつ無い、美しい白い肌。
でも、ここにひとつだけある泣きぼくろ。
神様が、何か考えるところがあって付けたとしか思えない、絶妙のポイントだ。
時々口づけを交わしながら、互いを慈しんだ。
こうして身を寄せ合っているだけで、どんどん幸せな気持ちが膨らんでゆくのはなぜだろう。
セックスしているわけでもないのに、どんどん切なくなってゆくのはなぜだろう。
愛、かな。
二人、同じことを考えていた。口に出すのは照れくさい、ちょっぴり恥ずかしい言葉。
でも、自分がこの人を愛しているのは真実なんだと確かめ合った。
黙って、朝の光が部屋を明るく照らすまで、夜の名残を味わった。
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