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第四章・11

 帰宅したジンガラは、明かりもつけずにリビングに座り込んでいるパッサカリアに驚いた。  テーブルには、枯れた観葉植物が乗っている。 「どしたの、パッサカリアちゃん!?」 「ジンガラ……」  彼の胸にすがりながら、パッサカリアは留守中訪れた怪しい男と、それから守るために命を振り絞って枯れてしまった植物のことを話して聞かせた。 「私が魔術を注いでいたから、こんなことに。こんなに急激に変異や成長をすると、命を使い果たして死んでしまうのに」  普通に伸びていれば、まだまだあと何十年も生きていられたのに、とパッサカリアは涙をこぼした。 「私の一族の中には、こういう風に植物に魔術を与えると、不思議な成長を遂げる力をもたらす者が現れることがあるらしいんだ」  まさか、私にそこまでの力があったなんて、とパッサカリアはうなだれた。  パッサカリアを抱きしめ、髪を撫でながらジンガラはジンガラで、また違うことを考えていた。  留守中に、不審な男に誘拐されかける。  まさか、フォルツァの追手が。  奴に、パッサカリアがここに隠れていることに気付かれた? 「パッサカリア、この枯れた奴は土に埋めてやろう。そうしたら、また別の命を育むことができるだろ?」  そして、明日からは一緒に仕事場に来てほしい、と提案した。  一人で留守番させていると、心配だ。  また、怪しい奴……おそらくは、フォルツァの遣わせた奴らがパッサカリアをさらいにやってくる。  人の目のあるところでは、さすがにそう大胆な方法はとれまい、とジンガラは考えた。

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