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第四章・28

「陛下、よくご決断くださいました」 「仕方がなかろう!」  フォルツァはしぶしぶ、包括的核実験禁止条約に署名をした。  このことが評価され、とりあえずは世界各国からの経済制裁が解かれる。  食品の輸入を開始し、ブラヴラ王国はひとまずの危機を脱することができた。 「余はお前の言うことを聞いたぞ。褒美をよこせ」 「陛下のお好きな、た○みのミックスゼリーでございます」  うむ、とゼリーをすくいながら、フォルツァは満足そうにうなずいた。  やはり、おやつはこれにかぎる!   今回のことで痛い思いをしたフォルツァは軍拡をいったん差し置いて、生産業に力を入れることにした。  特に農業。  これをおろそかにすると、おやつもままならない。  荒廃したウラス平野も順調に立ち直っているらしいし、まずは上々だ。 「何でも輸入した不思議な音楽を流すと、作物がよく育つらしいな。我が国の農業生産も上昇しておるし、これで余も肩の荷が下りたぞ」 「全ては陛下のご尽力の賜物でございます」 「よし。では、これで晴れてパッサカリア奪還作戦を練ることができるな!」 「陛下! もういいかげんになさいませ!」  これは例の音楽は、ジンガラとパッサカリアのデュエットだ、とは口が裂けても言えないと、侍従は冷や汗を流した。  それに。  それに、あの二人にはすでに並々ならぬ絆が生まれているのだ。  生木を裂くように引き離していいものではない、とこの初老の男は感じ取っていた。

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