その夜、一つの布団で手をつないで眠った。 それから、何度か友人ではなく(お試し期間の）恋人として逢瀬を重ねるが振り返れば友人として過ごしていた時間と、なんら変わりは無かった。 春日は何事もなかったかのように兄崎に接してきた。 兄崎の行動一つ一つが、告白前と後では違って見えるのではないか、友人としてではない何か別の感情を意識するのではないかと期待していたが、何一つ変わったようには見えなかった。 要するに何の進展も無いのだ。 可笑しい、と兄崎は思う。 正式な恋人ではなくても、「お試し期間」は恋人としての「予行演習」のはずなのに。 兄崎がお試し期間を許したのは、恋人になる前提があったからである。 そして春日は、兄崎との「恋人として付き合う」ことで、本当に恋愛関係が築けるのか見極める為だったはずなのに、全く変わり映えしない日々が続くばかりだった。