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親友
ずっと友達だと思っていた男。
いや、むしろ親友。
そいつがまさか俺のことを好きって…それってどんな冗談だよって、溜息しか出ないっつーの。
目の前で泣きそうな顔して俺を見つめてる。
「だめ?」
だめって何がだよ。
俺に何を求めているんだよ。
こっちの方が泣きたいわ。
「黙ってようと思っていたんだ。隠してこのまま、親友のままでいようって。」
ハァ?!
だったらそうしてくれよ。
親友のままでいさせてくれよ。
俺を悩ます様な事をわざわざ言うなよ。
「でも、我慢できなかった。考えれば考える程、無理だった。」
だから、我慢しろよ。
お前さえ我慢すれば俺はこのままお前と親友やっていけたんだよ。
俺を好きだって言うなら、俺の気持ちを考えて行動しろよ。
「触れられる度に疼くんだ。違う、そうじゃないってわかっていても、気持ちも身体も止められなくて…」
俺のせいとでも言いたいのか?
大体、そんな触り方なんかした覚えねーよ。
「ねぇ、どうせもう親友には戻れない、明日から無視してくれても構わない。だから…一度でいいから…。」
だよな。
これってそう言う流れだよな。
はぁ…仕方ねぇか…って、なるか普通⁈
ならねえだろう?
って、何を期待した目で見てんだよ!
うわっ、潤んでるよ、瞳。
そんなんで近付いてくるなよ!
「それさえ貸してくれれば、目を瞑って、動かずにいてくれればいいんだ。僕が勝手に使わせてもらうから。ダメ?」
なんだそれ?
オレはおもちゃか何かなのか?
「ハァ?!」
やっぱり怒るよね。
だけどそうでも言わなきゃ、何もなく終わってしまう。
流される君じゃないもの。
「おまえさぁ、オレをばかにしてるの?」
違うよ、君のことをわかっている僕だからそう言ったんだよ。
本当に欲しいものもらえないのもわかっているし。
「溜息しか出ねーし、アホらしくて話にもなんねーよ。」
わかっているよ。
でも、仕方ないじゃないか。
言わないでいるよりも言ってしまって嫌われた方が、この気持ちを隠さずに生きていけるだけ楽になれる。
「お前に頼まれてやってやるなんて事、オレがするわけねーだろ!」
わかってる。君は人に言われて動くのが嫌いな人だって。
君には悪いけれど、僕はスッキリしてるんだ。
帰ろう。そして、君に告白できた自分を褒めよう。
「おい!帰ろうとしてんじゃねーよ!」
「どうせ抱いてくれないなら、疼いてる身体を自分で慰めるしかないだろう?」
「お前さ…そんな泣きそうな顔で帰る気かよ。」
「そんなへマしないよ。」
「ヘマとか…そうじゃなくてさ。」
「何で笑うんだよ?」
「オレのことが本当に好きなんだなって思って。」
「何で?」
「だって、オレが泣かせたように思わせないって事だろ?」
「それは、だって僕が勝手に告白して勝手に失恋しただけの事だし。君には何の落ち度もないんだから、勘違いされるようなヘマはしないっていうのは当たり前でしょ?」
「お前って本当に…ばかだな。」
「ばかでも何でもいいから、そこをどいてもらえる?早く帰ってシタいんだから。」
「…逃さねーよ。」
「何?」
「オレはお前と親友ごっこをこの先もずっとやっていくつもりだったんだ。」
「何、言ってるの?」
「それをまさかお前に邪魔されるとはな。その罪は重いぞ。」
「だから、何を言ってるんだよ!」
「お前をいますぐ抱いてやるって言ってるんだよ。この先もずっと、な。」
「え?何で?」
「オレだってお前が好きだって事だよ。愛してんだよ。疼いた体を慰めてたのはお前だけじゃないってっことだよ。」
「嘘…。」
「嘘で言えねーよ、こんな事。それより、オレに抱かれる覚悟はできてるのか?今更逃げようとしても、無駄だけどな…愛してる。」
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