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第22話

「……冬夜…、やるならとっとやるぞ。」 「え?何を?」 「……」 冬夜に、肩に腕を回されテレビを観ること1時間弱。呼吸に合わせて、むず痒い様な変な感じが、断続的に体の奥から湧き上がる。やはり何かもられている。 「お茶に何か入れたろ?」 「えー。どうかなー?」 冬夜はテレビを観ながら言う。……ニヤニヤしやがって。 「そういえば、クロが探してたクロのスマホ、出てきたよ。」 「え!本当?」 そういって、冬夜は俺にスマホを渡した。確かに俺のスマホだ。良かった! ……… 「………」 「……ふふっ、どうしたの?クロ?」 俺は自分のスマホに手を伸ばした状態でフリーズした。冬夜がニヤリと笑い、聞いてくる。 だって、お前これ、煌が持ってるって…。 「と、冬夜………」 何で急に、見つかったんだ? ブブブブブ… ブブブブブ…… 「!!」 そう聞こうしたまさにその瞬間、俺の携帯が震えた。俺が大袈裟にビクつくと、冬夜がふっと笑った。 「…あ」 スマホを見ると、圭人からの連絡を知らせるものだった。出ていいのか、ちらりと冬夜を見ると、いつもの様に柔らかい笑顔を浮かべている。 「……出る?」 「………」 ブブブブブ……ピッ 冬夜の問いに、俺は無言で携帯に手を伸ばして通話ボタンを押した。 「日向!!ドア、開けろ!」 「!」 えっと思った瞬間には、冬夜のマンションの玄関ドアがガンガンと叩かれる音が響いた。俺は弾かれたように顔を上げ冬夜を見る。冬夜は、にぃっと不敵に笑った。 「あーあ、見つかっちゃった。」 「…っ」 俺は何も言わずに、玄関に向かって走りドアを開けた。 「日向!良かった…!て、え、制服??」 「兎に角、出るぞ。」 あ、玲次も。 ドアを開けると、圭人と玲次が居た。ホッとするが同時に、俺は玲次をみると反射的に身を硬らせた。 玲次に知られてしまった……。 「クロー、また遊ぼうね♡」 「…っ」 最後に振り返ると、手を振る冬夜が見えた。また……か。 バタバタとマンションを出て、玲次の車にのる。隣に圭人がのり、玲次が運転席につき、車が走り出した。 「日向、何もされなかった?」 「……あ、……うん。」 「………」 圭人が心配そうに、俺の顔を覗き込んでくる。変な薬をもられたけど…俺は運転する玲次を見て、口をつぐんだ。浮気現場を見られた様でバツが悪い。 玲次も親父もと、欲張ったのが良くなかったんだ。でも、親父は、たった1人の家族であって…。 関係が拗れて、玲次に家を追い出されたら、俺はそれを黙って受け入れるしかない。玲次は運転していて、未だ何も言ってこない。俺は玲次がどう思ったいるのかが気になって仕方がないが、自分から話す勇気も出ず俯いた。 「んっ、…」 しかも、冬夜にもられた薬が効いてきて変な感じがする。泣きっ面に蜂だな。 --- 玲次の家に着くと、玲次は圭人を帰した。その後、2人でリビングに座る。 「………」 「……」 その場の空気が重い。にも関わらず、体が火照る。こんなの、馬鹿だ。 「………日向、キツかったら、部屋に 戻っていい。」 俺をちらりと見ると、玲次はソファを立とうとする。 「れ、玲次っ!」 俺は思わず玲次の腕を取った。 「……っ、行かないで…。」 「………」 玲次が俺をじっと見る。 このまま玲次と離れると、次に会う時は更に距離があいてしまいそうで怖かった。 「……すまない…こんな時になんだが、日向から凄いいい匂いがして、自制が効かなくなりそうなんだ。それに……」 「…?匂い…?……あ」 Ωの、発情の匂いか。本当に…浮気はするし、発情するし、俺はダメすぎる。 思わずしゅんとなってしまう。しかし…確かに、確実に体の熱が昂まるのを感じる。 「……っ」 「…あ、いや、本当に悪い…。俺も少し混乱していて…。日向は悪くない。」 そう言って玲次は俺の頭を撫でた。 混乱…そうだよな…、俺が、こんな…。 「……ふっ、…っ、玲次!ごめんっ…。ごめんなさいぃっ…。」 俺は玲次に抱きついて謝った。本当に申し訳なくて、心が痛む。なのに、体は湧き上がる衝動がキツくて膝が震える。気持ちと体がちぐはぐだ。 「……日向、俺は…」 「……っ、」 「…?日向??」 「…あ、ふぁっ………」 玲次が何か言ってくれたのに、もはや快感が勝ってしまう。頭の動きが鈍くなり、ホカホカとした感覚に体が包まれる。 「………なんだ?薬?…そんなもの……もしかして、あちらの世界のものか?」 「…ぅ、ごめん、玲次……。多分…前も何度か使われたやつで…はっ、ほんとっ、ごめん……。」 こんな状況で言っても言葉が凄く軽い。しかし俺は、譫言の様に謝罪を繰り返した。 「そうか。……っ、しかしこれ…すまん、日向。本当に少し離れてもらえるか?」 「…え」 「あのな、本当にすまないが、日向のΩのフェロモンが凄いんだ。多分、一度出すかすれば多少は…」 「…玲次がいい。」 「……」 こんな、変な薬を理由になんてズルいにも程がある。しかし 「うぅ、…っ、こんなの、最低だけど、…ごめん、玲次のが……欲しい……ごめんなさいっ…」 「………」 俺は拒絶が怖くて、目をギュッと閉じて言った。都合が良すぎるし、独りよがりだし、最低な事だと思った。けれど玲次の腕の中にずっと居たい。 「ねぇ……ごめんなさいっ、本当にごめんけど、玲次……おねがっ…ごめんっ……頂戴…こんなの、ごめん……っっ!玲次っ、玲次…っ、」 「日向…、」 玲次が言い淀んだ。俺は抑えが効かなくて、玲次にキスをした。そのまま玲次をソファに倒すと、乗り上げ玲次のズボンを緩めた。 「んっ、……あっ、ふっ、」 見ると、玲次のものも既に興奮していた。俺は震える手で玲次のものを取り出すと口に含んだ。下手だとよく揶揄されるので、せめて歯を立てない様に気をつけて舌を這わせる。 「……日向、ごめん、」 「あ」 何が?と思う間も無く、逆に押されて玲次のものが入ってくる。 「ふっ、あっ、…っ!」 「はぁっ、すまん、日向、余裕がない。」 俺は直ぐに達してしまう。しかし玲次はそのまま律動を始めた。 「あぅっ、きもちっ、ふっ、〜〜っ!んっ、ふっ、もっと、玲次、もっと………っ!」 「……っ、日向、」 玲次がキスをしてくれた。 「玲次っ、玲次っ、もっと…もっとしてっっ…〜〜っ」

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