33 / 43

第29話

上、下、上、下……。 「あっ、あっ、……っ、煌、手、やめて…離しって……、」 「あぁ?」 「ん゛、ん゛っっ!〜〜っ!」 俺は煌に跨り一心不乱に腰を上下させる。上いって、下いって…、しかし単純作業に落とし込むのを、煌は許してくれなかった。 煌は俺のものを握り、達せない様にする。離して欲しいというと、口答えの仕置きというかの如く、先端を指で擦られ俺はまた出さずに絶頂を迎える。これで一体何度めだ…。 「おい、お前ばっかイッてて…本当に奉仕する気あんのか?」 「うっ、うぅっ、」 「あるのか?」 「……あっ!っ、ぁあっ、あるっ!…っ、ありま゛すっ、す、すみません゛っっ!んっ、」 軽く達した直後にそんな質問に答える余裕もなく、眉を寄せ動きを止め震えていると、煌の手が再び緩く俺自身の先を擽る。先程の快感への恐怖を感じ、俺は慌てて腰を動か頷いた。 これ…辛い…。せめて出させて欲しい。 タンッタンッタンッ 「はっ、うっ、んんっ、」 気持ちが拒否するだけで、実際は騎乗位って自分でコントロール出来て楽なのではかと思ったけど、煌にかかればそんな事なかった。欲しくない快感を追って動くのは殊更辛かった。 俺は蒸気した顔に垂れる汗を拭う事も出来ず、ただひたすらに動く事しか許されていない。煌が満足するまで。しかし…、いつになったら満足するんだよっ! 「はぁっぐっ…っ、煌、イッて、はやっく……っ、」 「ははっ、いいの?俺がイったらこのまんま、お前の中に出すぞ。」 「んっ、出してっ、中にっ、…っくださいっ、〜〜っ」 「はっ、昨日までは中は嫌だと騒いでたくせにな。」 「はぁっ、はぁっ、」 煌は余裕綽々と笑う。実際、まだ全然なのだろう。 早く、終わって……っ。 「……そんなに欲しいなら、こんな、怠惰な事、するなっ。」 「っ、ーーーっ!!」 煌が言葉と共に俺の腰を両手で掴み、一気に下へ引き下ろした。浅くゆるゆると動いていたのは、バレていた様だ。結果、浅いところで誤魔化していたものが、一気に奥まで貫いてくる。煌の手が俺から離れた事で、俺はのけぞって盛大に絶頂し出した。激しい快楽に震え、俺はヘタリと煌の上に倒れ込んだ。 「はぁっ、はぁっ、はぁっ…」 「おい、休んでんじゃねーぞ。勝手に出しやがって…。」 「あっぅうっ…ちょ、まって…」 体中がじんじんと痺れて、動けない。俺は息を乱して、煌に弁解しようとする。 「お前だけ勝手に気持ちよくなってるなよ。動け。」 「…っ、ん、だからっ」 「動け。」 「………っ、んんっ」 煌の鋭い口調に反抗出来なかった。俺は未だ余韻から抜けきれず、ブルブルと怖い程に震える体に鞭打ち、律動を再開した。 あ、うぁっ、うっ、嫌だ、気持ちいい。気持ちいいっっ!!こんな、直後に…当たり前だ!早くっ……終われ…終わって、終わって……。 「うぅ、煌、だ、出して…っ、中に出して、下さいっっ!〜〜っ、う゛ぅっ、中に出して……っ」 「……」 早々に頭も回らなくなっていて、俺は変な懇願を煌にしながらひたすらに動いた。すると、煌のものが僅かに反応した。気がする…。しかしそんな合間にも、欲しくもない絶頂が次々と訪れて震える。 「う゛ぅ、〜〜はぁっっっ!!」 ガクガクと痙攣しながらも、止まると咎められるので動く。感覚が痺れて鈍い。鈍いのに、脳にはダイレクトに快楽が押し寄せた。 これ、もう、なんか、ヤバっ…。 ちくはぐな状態に、頭が追いつかない。しかしそんな俺の痴態を見てか、煌のものがやっと反応を見せ始めた。雰囲気も心なしか色艶を帯びてきている。 「キス」 「う゛っ、…んっっ、」 俺は煌に言われるまま、煌の口に口付けた。昼間はあんなに恥ずかしかったのに…。早く終わってと願い、拙くも必死に舌を動かした。 「ひ゛っ、う゛ぅ…っ、むっ!」 俺が下手過ぎたのか、煌に舌を引かれ柔く噛まれた。痛くはないが、怖くて唇を引いてしまった。 「逃げるな」 「う゛んっっ、ごめっ……っ」 謝るが、言い切る前にまた強引にキスをされ、噛まれた。俺は煌を満足させこの行為を終わらせたい一心で、応じて舌を動かした。 「はっ、だから止まるな。動け。」 「ふっ、〜〜〜っっ!んっ、…っ、」 「………」 しかしキスに集中しすぎて、動きが止まるとまた叱られ、深く中を突き上げられる。俺は体を真っ赤にして、蒸気した顔のまま必死に動く。その間幾度も達するが、休む事は許されない。まさに奉仕。で、地獄だ。 そんな俺を煌がじっと見ていた。しかし構ってはいられない。煌が顎をしゃくると慌ててキスをして、ガクガク起こる痙攣を必死に押し留め動いて…忙しくて、何より辛い。 「…………本当に、何でもするなよ………」 「……?」 不意に、煌が苦々しげに独り言を呟いた。俺は何かと思い、煌を見る。 「だから、動けって。」 「ぅっ、はい゛っっ!」 しかし結局また止まってしまい、叱られるだけだった。

ともだちにシェアしよう!