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第29話
上、下、上、下……。
「あっ、あっ、……っ、煌、手、やめて…離しって……、」
「あぁ?」
「ん゛、ん゛っっ!〜〜っ!」
俺は煌に跨り一心不乱に腰を上下させる。上いって、下いって…、しかし単純作業に落とし込むのを、煌は許してくれなかった。
煌は俺のものを握り、達せない様にする。離して欲しいというと、口答えの仕置きというかの如く、先端を指で擦られ俺はまた出さずに絶頂を迎える。これで一体何度めだ…。
「おい、お前ばっかイッてて…本当に奉仕する気あんのか?」
「うっ、うぅっ、」
「あるのか?」
「……あっ!っ、ぁあっ、あるっ!…っ、ありま゛すっ、す、すみません゛っっ!んっ、」
軽く達した直後にそんな質問に答える余裕もなく、眉を寄せ動きを止め震えていると、煌の手が再び緩く俺自身の先を擽る。先程の快感への恐怖を感じ、俺は慌てて腰を動か頷いた。
これ…辛い…。せめて出させて欲しい。
タンッタンッタンッ
「はっ、うっ、んんっ、」
気持ちが拒否するだけで、実際は騎乗位って自分でコントロール出来て楽なのではかと思ったけど、煌にかかればそんな事なかった。欲しくない快感を追って動くのは殊更辛かった。
俺は蒸気した顔に垂れる汗を拭う事も出来ず、ただひたすらに動く事しか許されていない。煌が満足するまで。しかし…、いつになったら満足するんだよっ!
「はぁっぐっ…っ、煌、イッて、はやっく……っ、」
「ははっ、いいの?俺がイったらこのまんま、お前の中に出すぞ。」
「んっ、出してっ、中にっ、…っくださいっ、〜〜っ」
「はっ、昨日までは中は嫌だと騒いでたくせにな。」
「はぁっ、はぁっ、」
煌は余裕綽々と笑う。実際、まだ全然なのだろう。
早く、終わって……っ。
「……そんなに欲しいなら、こんな、怠惰な事、するなっ。」
「っ、ーーーっ!!」
煌が言葉と共に俺の腰を両手で掴み、一気に下へ引き下ろした。浅くゆるゆると動いていたのは、バレていた様だ。結果、浅いところで誤魔化していたものが、一気に奥まで貫いてくる。煌の手が俺から離れた事で、俺はのけぞって盛大に絶頂し出した。激しい快楽に震え、俺はヘタリと煌の上に倒れ込んだ。
「はぁっ、はぁっ、はぁっ…」
「おい、休んでんじゃねーぞ。勝手に出しやがって…。」
「あっぅうっ…ちょ、まって…」
体中がじんじんと痺れて、動けない。俺は息を乱して、煌に弁解しようとする。
「お前だけ勝手に気持ちよくなってるなよ。動け。」
「…っ、ん、だからっ」
「動け。」
「………っ、んんっ」
煌の鋭い口調に反抗出来なかった。俺は未だ余韻から抜けきれず、ブルブルと怖い程に震える体に鞭打ち、律動を再開した。
あ、うぁっ、うっ、嫌だ、気持ちいい。気持ちいいっっ!!こんな、直後に…当たり前だ!早くっ……終われ…終わって、終わって……。
「うぅ、煌、だ、出して…っ、中に出して、下さいっっ!〜〜っ、う゛ぅっ、中に出して……っ」
「……」
早々に頭も回らなくなっていて、俺は変な懇願を煌にしながらひたすらに動いた。すると、煌のものが僅かに反応した。気がする…。しかしそんな合間にも、欲しくもない絶頂が次々と訪れて震える。
「う゛ぅ、〜〜はぁっっっ!!」
ガクガクと痙攣しながらも、止まると咎められるので動く。感覚が痺れて鈍い。鈍いのに、脳にはダイレクトに快楽が押し寄せた。
これ、もう、なんか、ヤバっ…。
ちくはぐな状態に、頭が追いつかない。しかしそんな俺の痴態を見てか、煌のものがやっと反応を見せ始めた。雰囲気も心なしか色艶を帯びてきている。
「キス」
「う゛っ、…んっっ、」
俺は煌に言われるまま、煌の口に口付けた。昼間はあんなに恥ずかしかったのに…。早く終わってと願い、拙くも必死に舌を動かした。
「ひ゛っ、う゛ぅ…っ、むっ!」
俺が下手過ぎたのか、煌に舌を引かれ柔く噛まれた。痛くはないが、怖くて唇を引いてしまった。
「逃げるな」
「う゛んっっ、ごめっ……っ」
謝るが、言い切る前にまた強引にキスをされ、噛まれた。俺は煌を満足させこの行為を終わらせたい一心で、応じて舌を動かした。
「はっ、だから止まるな。動け。」
「ふっ、〜〜〜っっ!んっ、…っ、」
「………」
しかしキスに集中しすぎて、動きが止まるとまた叱られ、深く中を突き上げられる。俺は体を真っ赤にして、蒸気した顔のまま必死に動く。その間幾度も達するが、休む事は許されない。まさに奉仕。で、地獄だ。
そんな俺を煌がじっと見ていた。しかし構ってはいられない。煌が顎をしゃくると慌ててキスをして、ガクガク起こる痙攣を必死に押し留め動いて…忙しくて、何より辛い。
「…………本当に、何でもするなよ………」
「……?」
不意に、煌が苦々しげに独り言を呟いた。俺は何かと思い、煌を見る。
「だから、動けって。」
「ぅっ、はい゛っっ!」
しかし結局また止まってしまい、叱られるだけだった。
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