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亜利馬、カメラを回して目も回す・3

 同日。次のターゲットはブレイズの暴れん坊・潤歩。 「潤歩は俺の時みたいな襲われ方したら、絶対にケンカになるよ。力で押さえつける系は駄目だよね。どうするの?」  一度廊下の隅に集まり、俺は突如協力してくれることになった獅琉と一緒に山野さんの話を聞いた。 「潤歩に仕掛けるのは俗にいうハニートラップというものに近いやつだな。仕掛け人はインヘルのモデルを使う」 「一応フェラだけですよね? 潤歩さんがサカり始める前にネタバラシしないと」 「サカるようなモデルは使わないから大丈夫だ」  俺は内容を知っているけれど、獅琉は初めて聞く話だからか目を輝かせてニヤニヤしている。 「よし、そろそろ時間だ。スタンバイしてくれ」  現場はインヘルのトイレ。潤歩が入ってきたところをイケメンモデルが誘惑して奉仕するという運びだ。  俺と獅琉はトイレの個室に隠れて、潤歩が来るのを待った。 「ドキドキするね。早く来ないかなぁ」 「……あの、万が一怒られたらフォローお願いしますね、獅琉さん」 「潤歩は知ってるんでしょ? フェラ抜き十連発の撮影がある、って昨日言ってたよ。ただどこで始まるかが知らされてないってだけで」 「まさかトイレとは思ってないでしょうね……」  やがてゴツゴツと廊下を歩くブーツの音がして、潤歩がトイレに入ってきた。 「………」  何も知らずにファスナーを下ろしている潤歩。と、そこへ── 「潤歩くん」「失礼、潤歩くん」 「あ? なに?」  トイレの入り口から仕掛け人であるモデルが二人入ってきて、潤歩の両脇に立った。いやにゴツいモデルさんだ。彼らはメンズレーベルという、うちの会社では比較的ハードなVに出ている人達だと山野さんが言っていた。 「……ちょ、てめぇら何すんだ? 勝手に人のモン触ってんじゃねぇっ!」  潤歩の両脇にしゃがんだ二人が、今まさに用を足そうとしていた「潤歩の潤歩」に左右からしゃぶり付く。 「おいっ、ふざけんなてめぇら……! こ、んな真似してっ……」  潤歩の怒りよりモデルのテクニックが上回るのも無理はない。問答無用で潤歩のそこに舌を這わせている二人は、山野さんによれば「フェラ攻め専門のモデル」で、普段は凌辱レイプ系に出て何人ものモデルをフェラ抜きさせているのだそうだ。 「お、おあ……ふざ、っけんな……!」  壁に手をつき脚を踏ん張っている潤歩。彼がこんな風に蹂躙されている姿を見るのは初めてで、個室の隙間から撮影しながら俺の顔は真っ赤っかになっていた。 「ん、ぐ……、はあぁっ……!」  潤歩の巨大ペニスをいとも簡単に咥え込んだモデルが、激しく頭を振っている。次第に潤歩の腰が前後に揺れ始め、俺は慌ててハンディカムのズームボタンを押した。 「はっ、……意味分かんねぇけど、なかなかやるじゃねえか……! オラ、次はそっちのお前がしゃぶれ。喉まで突っ込んでやるからよ!」  ぎらついた目はドSスイッチが入った証。潤歩の変わりように若干怯えながらも、俺はカメラを回し続けた。 「ああ……これ多分、潤歩気付いてないね。撮影の時とは違う本気モードになってる」  獅琉が囁いて、俺はゴクリと唾を飲み込む。 「あぁクソ、……出すぞてめぇらっ、……!」  そうして潤歩の先端から飛んだ精液が、二人のモデルの顔に飛び散った。 「……行くよ亜利馬」 「は、はい」  個室のドアを開け、「じゃーん!」と二人で登場する。 「潤歩さん、サプラーイズ!」 「……は?」 「潤歩ぅ~、すっごいエッチだったよ、ばっちり!」 「………」  潤歩の顔がみるみる赤くなり、ファスナーも直さず……次の瞬間、俺の方へ飛び掛かってきた。物凄い形相だ。捕まったら最後、絶対に無事では済まされない。 「亜利馬てめぇっ、ケツ出せ! 死ぬほど掘りまくってやるっ!」 「い、いやああぁっ! 何で俺だけっ!」  間一髪潤歩から逃れた俺は、そのままダッシュでトイレから飛び出した。

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