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亜利馬、みんなのお兄ちゃんになる・5
俺がうとうとし始めた、その時。
「ありまお兄ちゃん」
「ん。どうしたの大雅……」
「……一人で寝れないから、お兄ちゃんに抱き付いてもいい?」
「うん、別にいいよ……」
後ろからぎゅうと大雅が抱き付いてくる。俺をすっぽりと包んでくれる大きな体、細くても逞しい腕。大雅のいい匂い……。こうしてくっついて眠れば、温かさも二倍だ。
──俺もお兄さんらしくなってきたってことかな。
「ありま先生」
「んぁ。何ですか獅琉さん……」
大雅と反対側、俺の正面から獅琉が顔を寄せて囁いてきた。
「甘えたくなっちゃった」
「……可愛いですね。おいで」
俺の胸に顔を埋めて抱き付いてくる獅琉。シャンプーの香りを思い切り吸い込んで、はあぁとまた思い切り溜息をつく。前も後ろもハンサムに挟まれて眠るなんて、俺は世界一の幸せ者だ。
「……ん?」
再びまどろんでいたら、ふっと肌に空気が当たる感覚があって俺は目を開いた。
「……な、何してんですか獅琉さんっ……」
見れば正面から抱き付いて寝ていたはずの獅琉が、俺のシャツを捲って乳首に吸い付いている。咄嗟に体を離そうとしたけれど、背後で大雅が俺を抱きしめているために身動きが取れない。
「し、獅琉さんっ?」
「……ん。甘えたくなった、って言ったじゃん。ありま先生?」
「っ……!」
それこそ子供のように(子供がそうなのか分からないけれど)、長い睫毛を伏せてちうちうと俺の乳首を吸っている獅琉。毛布の中でシャツを捲られてそんなことされるって、……何か凄くエロい。
「んっ、……はぁ、……獅琉さん、駄目ですっ……」
「甘えさせてくれないの? ありま先生」
「あ、甘えさせますからっ、こういうのは、あぁ……」
「こういうのって? 他のお友達が寝てる中で気付かれないように、おっぱい吸われること?」
「あんん……獅琉さん、……だ、め……」
「亜利馬はお兄さんなんだから、ちゃんと子供が安心して眠れるように優しくしないとね?」
「あ、う……」
俺は獅琉の頭を抱きしめ、震える手でその髪を撫でた。
「よし、よし……」
「ふふ。亜利馬の乳首硬くなってきた。意外とこういうプレイ好きなんじゃない?」
「そ、んな、こと……ぁ……」
「静かに。みんなが起きちゃうよ」
俺は手で口を塞ぎ、何とか声を抑えようとした。けれども元々の耐性の無さに加えて獅琉の舌使いが上手過ぎて、どうしても荒い息が漏れてしまう。
「ふ、う……しりゅ、さん……。やっ、……」
「俺の愛撫に素直に応えてくれて、可愛いおっぱいだね、亜利馬。亜利馬の体はどこも素直だもんね。すぐ気持ち良くなっちゃう」
「やっ、あ……そうやって、……エッチなこと、言われると、ぉ……!」
瞬間、毛布の中で俺の股間が鷲掴みにされた。
「ひえっ――?」
誰の手か分からない。だけど俺を抱きしめている大雅の手はここにあるし、獅琉は俺のシャツを捲っているから違う。──誰だこの痴漢はっ!
「ガキの頃、寝る時にぬいぐるみのクマの手を握ってたの思い出すわ」
「そ、その声は潤歩さんっ……?」
「小ささと柔らかさが、丁度こんな感じだったっけな」
「お、俺のチンコをぬいぐるみの手と一緒にしないで下さいっ……!」
耳元にふっと温かいものが触れた。
「……亜利馬、お兄さんなら学習しないと」
聞きなれた抑揚のない声。囁いているのは大雅だ。
「え、あ……何、大雅……。お、起きて……?」
「調子に乗ったら仕返しがくるんだって、前のドッキリ企画で学んだでしょ」
「お、俺は調子に乗ってなんかっ、ぁ……」
乗ってた。確かに乗ってた。
だってみんなのケツをぺんぺんしてた時、俺は心底から楽しいと思っていたんだ。
「それに」
今度は竜介の声が毛布の中から聞こえた。
「そもそもこれはAVの企画案だからな?」
「っ……!」
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