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ブレイズ、素敵な冬休み!・7

「………」  獅琉から時計回りに──さっきと同じブレイズのナンバー通りの順番で、カードを捲って行く。  1……。6……。2……。ジャック……。4……。 「なかなか出ないもんだな。こんなもんか?」  竜介の呟きに答える者はいない。全員、中央の絵柄に集中しまくっているからだ。  キング。8。9。4。……3。 「さんだりゃあぁぁッ!」  潤歩が謎の奇声と共に重なったカードの山に手のひらを叩き付けた。 「あっ!」 「しまった!」  勢いで数枚のカードが山から飛び散る。潤歩の目はそれこそ狼のようにぎらついていた。 「スピードで俺に勝てると思ってんじゃねえぞクソボケ共がァ……」 「そ、そんな本気でやらなくても……。潤歩、遊びだよ遊び。勝負も大事だけど、楽しくやろうよ」 「獅琉。てめぇも罰ゲーム覚悟しとけよ。失神するくらい辱めてやるからなァ」 「う……」  これはもはや遊びではない。五人の男の、命を賭けた戦いだ。 「次!」  8……9……ジャック……1……。  もう誰も喋らない。  2……。10……。9……。  構えた手が震える。  クイーン。9。4……。──5。 「ごおぉぉぉ──ッ!」 「だりゃっしゃああぁあぁッ!」  バチバチバチッ、五人の手が山の上に重なって行く。一番下にあった手は…… 「……俺」 「たっ、大雅……?」  四人とも全く警戒していなかった大雅が、溜まったカードを取ってぽつりと呟いた。 「これ、ちょっと勝てるかも。……罰ゲーム楽しみ」 「……おい、やべぇぞ。……コイツの潜在的ドSが覚醒したら、俺達全員辱め殺される」 「りゅ、竜介さん、大雅を止めてくださいっ」 「はっはっは、こうなったら大雅は止められないさ。本気の目になってる」 「笑ってる場合じゃないよ竜介っ!」  その後も白熱のバトルが続き、大雅が二連続ゲット、次に潤歩がゲット、根性で俺がゲットした後に痛恨のお手付きでプラマイゼロ──広い和室にしばらく男達の咆哮が響き渡った。 「……みんな、ぎらつき過ぎて自滅してるだけ」  大雅以外の四人はゼエゼエと肩で息をしているが、疲れただけで結局手持ちはゼロになっていた。勢い良く狙い過ぎて終盤にお手付きが続いたせいだ。 「俺の勝ち。……罰ゲームどうしようかな」  滅多に笑わない大雅が、唇の端を嬉しそうに歪めて笑っている。 「怖い。大雅が笑ってる……」 「……こういう、普段大人しい奴が権力握った時ってのが一番怖えぇんだ」 「竜介さん、手加減するように説得してください……」 「大雅、その……優しい罰で頼むぞ?」  束ねたカードで口元を隠した大雅が、ニッと目を細めて言った。 「……じゃあみんな、自分で『自分の良いところ』を三つずつ言ってって」

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