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璃緒の夜②

「気持ちいい、……よな」  玲也も、ほっとしたような空気が伝わってくる。ゆるゆると俺のものを扱く手つきも、だいぶ穏やかだった。  けれど容赦はない。俺の体を着実に高めていく。 「は、もう、イ……っあぁ……っ」  びくびく、っと体が跳ねて白濁を吐き出す。一瞬のはずの快感が、甘く脳にとどまった。  くたりとベッドに体を預けた俺だったが、玲也はもう、おろおろしたりしなかった。それどころか俺の上に覆いかぶさってきて、くちびるで触れてきた。俺は一気に意識を取り戻して目を丸くしてしまう。  触れ方は慣れていなかったけれど、少なくとも『こうするものだ』と確信して、そうしたいと望んでくれていることは感じられた行為だったから。 「ふぁ……」  すぐに離されて、とろりと唾液が糸を引いた。俺の口元に垂れたけれど、そんなことはかまいやしない。  俺は肘をついて起き上がった。玲也がちょっと気圧されたように身を引く。  俺はそれにかまうことなくもっと身を乗り出して、そして押されすぎた玲也が、逆にベッドにどすんと腰をついた。  満足して、俺は逆に玲也に乗りかかる。ベルトに手をかけた。  その仕草でされようとしていることを知ったのだろう。  玲也が一気に顔を赤らめた。 「俺にはしたくせに」  ちょっとからかってやる。手はとめないままに。 「いや、でも、お前」 「いいから。お返し」  戸惑っている玲也にかまうことなく、俺ははだけた下肢から玲也の張りつめているものを取り出した。しっかり勃って、びくびくしているもの。俺に施すことで反応してくれていることが嬉しくてならない。  数度撫でただけで、身をかがめていきなり口をつけてしまったのも嬉しかったからだ。ちゅうちゅうとそれの先端にしゃぶりつく。青臭い味が口に広がったけれど、それすら心地いい。 「ちょ! 璃緒、おま、なに……っはぁ!」  玲也の戸惑った声はすぐに喘ぎ声に変わった。俺に返事をする余裕も、空いた口もなかったけれど。  舌で竿を舐めあげる。飴を舐めるようにちろちろ舌を這わせる。袋は手で揉んでやった。  フェラなんて初めてされるだろう玲也がそう長くもつはずもなく。 「り、璃緒、はな、して」  頭を押された。もう出そうなのだろう。  俺はむしろ歓喜を覚えて、一旦口を離して玲也を見上げた。性感に染まっている頬がかわいらしい。 「いい。そのまま、イッて」  それだけ言って、もう一度食いついた。今度はイかせるために強くしゃぶる。 「な、駄目、だっ……ひ、あぁ……!」  びくびく、と俺の口の中でそれが跳ねて、どぷっと生ぬるい液体が溢れた。  玲也の精液。命の入った液体。  口の中で数秒だけ味わって、零さないように気をつけてごくりと飲みこんだ。口の端についたものも、ぺろりと舐めとる。  その口を拭いながら見上げると、玲也は荒く息をついていたが、信じられない、という眼をしていたし、そのとおりのことを言った。 「お前、こんな……」 「悦くなかったか?」 「いや、すげぇ悦かった……じゃねぇ!」  質問には素直に答えられたが、すぐ声をあげられた。理由はわかるけれど。しゃぶられるなんて初めてだっただろうから。 「悦くしてやりたかったのに……」  わざとしょぼんとした仕草をしてみせる。こんな、ちょっとふざけたようなことまでできるほど安心してしまったらしい。  俺の様子を見て、玲也はあわあわとする。 「いやっ、すげぇ悦かった……けど、いきなりでびっくりしたっていうか」  そりゃそうだろうな。俺はくすっと笑ってしまう。 「ならいい」  それだけで済ませることにして、俺はもう一度ベッドに寝そべった。  俺のしてほしいことはすぐわかっただろう。ちょっとほっとした空気で、玲也が俺の下肢に手を伸ばした。  でもここにはなにも無い。  ……ということは、実はないのだけど。 「あ。……わり、なにも用意なんて……」 「なんだ、買うなんて言ったくせに用意もないのか?」  俺はつい笑ってしまった。本当に馬鹿正直だ。  そして俺は自分の脱いだズボンを示す。 「そこにある」  『仕事』をするつもりで来たのだ。小さな容器に移したローションも、勿論ゴムだって持ってきた。まさかコイツに使ってもらえるなんて思わなかったけれど。

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