7 / 8
第7話
胃が痛くなるほどの沈黙が続いたあとそっと話し出した。
「なんか、、、なんか那由太を見てるとなんか.........久しぶりだからかもだけど」
おいおいおいおいおいおいおい、ちょっと待ってくれ。
それ以上その気持ちの先を気づいてしまえば、やばい事になる。
少し時間をください、状況把握に俺が追いついていない、多分これは夢だろう、体の悪い夢。
こういう時は焦ってはいけない。
1番わかってるだろう、俺が。
ここは、冷静に言おう。
「なんか、、、、離れたくなくなった…………」
「.........びょ、びょう、いん、、、に、行った方、、が、いいん、じゃ、ない、か.........?」
駄目だった。うまく顔見れねえし。
こういう時に限って上手く口が回らない。
しかも心臓がちょっと大きく鼓動している。
断じてドキドキ!とかそういうのではない。
あんまりにも、静が緊張して言ってくるからそれが伝わってしまったというか。
「確かに.........そうかもな......」
「あ、、、あれだよ!!!思春期に起こりやすいなんか変な病気あるらしいよ!なんか熱っぽくなるやつなるってやつ!!この間女子が言ってた」
そんなものなど無い。
「そーなのか?」
信じるのかよ。
「そう、そ、そうだって」
「那由太もなるのか?」
「いや、俺はまだ...ほら、伝染るかもしれないから、さ」
少し後ずさるが静はまた近づいてくる。
「ごめん、、、でも、どうすればいい?」
「知らないってば、、、もう腹減ったから帰るから、、、じゃあまたな!」
静を置き去りにして一目散で家に入るが、まだダッダッダと心臓が波打っている。
顔が熱い。変な雰囲気にさせるなよ。
神様、俺はほんとにBL界の住人になってしまうかもしれない。
__________________________________________
湯船に浸かりながらさっきあったことを考え整理する。
「ほんとに夢の中であってくれ...」
これはかなり厄介な状況になってきてしまった。俺は正直、BL好きじゃないし恋愛対象は男じゃない。
できれば、ふんわりいい匂いがする黒髪の華奢な女の子と付き合いたい。
しかしさっきのは男だし華奢ではないし、ふんわりしているが匂いではなくて脳内の話だし。
これで実は静と那由太付き合ってます!、なんて家族友達に言ってみろ、どうなるか。
いや、...待てよ?確かにあの時変な雰囲気になってしまったけど、まだ静が俺を好きと決まったわけではない。
気まずい空気を払拭するために部屋に呼んだのがそもそもの間違いだったんだ。
時間を巻き戻したい。
こういう時に体のいい青いネコ型ロボットとか現れないのだろうか。
誰かに相談出来れば今の気持ちも少しは軽くなるはずだが。
と、思った時に雷が落ちてきたように閃いてしまった。
ザバッと湯船から立ち上がり、思わず叫ぶ。
「.........兼本!!!!」
ともだちにシェアしよう!