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第4話
(そろそろ、潮時だな)
そんなことを考えながら、了解の文字を返信すると、すぐに既読の表示が出たから、湊は微かに口元を弛める。
この一年半、海里に出張や予定が無ければ、金曜の夜二人で会うのが通例になっていた。去年、入社三年目にして初めて担当をした新人研修が海里との出会いだったのだが、どういう訳かかなりなつかれ、今の状態に陥 っている。
「さっき星川さんと喋ってたの、海外事業部の持田さんですよね。仲いいんですか?」
喫煙室の中へと入ると、今年地方から本社へ配属されたばかりの女性社員が、一人で煙草を吸っていた。控えめに声を掛けられて、興味津々といった様子に湊は思わず苦笑を漏らす。
「まあ、会えば話くらいはするかな。新人研修の担当だったからね」
「そうだったんですか。彼、かなりイケてますよね。あっ、星川さんもカッコいいですよ」
「お世辞はいいよ。確かに持田は男から見てもイケてるよな。でも、狙っても無駄だよ。アイツ、彼女いるから」
「ですよね。いい男だもんなぁ。あ、星川さんはどうなんですか? ここだけの話、地味に女子から人気あるんですよ」
彼女の年齢は自分より少し上だったような気がするが、いつもニコニコと感じがよく、サバサバしている性格もあってか湊にとっては話しやすい。
「地味に……ね」
「あっ、そういう意味じゃなくて……でもホント、人気ありますからっ、ですから、気をつけてください」
一体何に気をつけるのかと首を傾げた湊だが、ちょうどその時、湊のピッチが着信音を響かせたから、彼女に小さく会釈してから喫煙室を後にした。
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