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第5話
***
「彼女が言ってたの…… こういう意味なんじゃないの?」
「んっ…… くぅ…… 」
背後から、獣の体位で貫かれるのは、慣れてはいるけれど好きではない。だが、そうしてくれと注文したのは自分だから、文句を言える立場でもなかった。
「星川さん、隙だらけだから俺みたいなのに気をつけろって意味ですよ」
「ふっ…… うぅ」
指先で背筋をゆっくりなぞられ、湊の体が大きくしなる。喫煙室でのやりとりを、見られていたとは知らなかったし、そもそも彼がそんな心配をするのはおかしな事だと思う。
(だって、誘ったのは…… 俺だ)
「それとも、淫乱な星川さんは、わざと隙を作って誘ってる?」
そんな訳があるはずがない。
そう言い返してやりたいけれど、革製の口枷に戒められた口では言葉を紡ぐこともできず、湊は低く呻きながら、首をゆるゆると左右に振った。
毎週金曜日、都合があえば湊は海里とセックスをする。だからといって、つき合っている訳ではなく、世間一般で言うところの、セフレという関係だ。
「清潔そうな顔をして、男に抱かれて善がってるなんて、彼女が知ったらびっくりするだろうね。しかもドMでホモとか……きっとどん引きされる」
「ぐっ……ん」
あざ笑うような海里の言葉に、目の奥の方がツンと痛くなるけれど、湊は必死にそれを堪えて、背後を振り返り彼を睨む。
「怖いなあ。冗談ですよ」
口端を上げて告げた海里は、背後で一つに拘束されている湊の腕を掴み上げ、それを強く引っ張り上げて、半ば強引に自分の上へと座るような格好にさせた。
いわゆる、背面座位の体勢だ。
「っ…… んぅっ! 」
すでに半分ほど挿入っていた質量のある彼のペニスが、自重によって腹の奥までを抉るように一気に貫き、思いも寄らない強い刺激に、湊の体が痙攣した。
「星川さん、早速ドライでイっちゃいましたか。俺も、持ってかれそうになりました」
ペニスの根本を戒めているコックリングへ触れた海里は、耳元で低くそう囁くと、陰嚢をゆるゆる揉み始める。
もう片方の指先で、胸の尖りをノックされれば、条件反射のようにペニスがピクリピクリと上下した。
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