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第8話

(それで良かった)  会うのは金曜の夜だけと決めたのは、海里ではなく湊の方だ。  抱くならば、最低でも手と口だけは拘束しろと条件を付けたのも。  遊んでいると思われた方が、何かと都合が良かったから、こういうプレイが好きなのだと湊は海里に嘘をついた。  場所はいつも湊の自宅。海里の家ではいつ彼女が来るかも知れない不安があるから、自分の家が良いと言った。  なにせ、同じ会社で働いているというだけでもリスクがある。これまでは、体が淋しい時に一夜の相手をネットで探して(しの)いでいたのだが、海里に関してはそんな危険を考慮に入れても抱かれたかった。  (好きに……なってたんだ)  最初は体の関係だけで満足だと思っていたのに、拘束しても優しく抱くから、勘違いしそうになった。  そのうちに、こんな風に彼女も抱くのかと考えたら、どうしようもなく苦しくなった。 (だから、俺は……) 「…… さん、星川さん、起きてください」 「んっ…… う」  頬を軽く平手で叩かれ、現実へと引き戻される。名前を呼ぼうと口を開くが、枷が邪魔をして出来なかった。 「ドライで何回かイった後、失神しちゃったみたいです。やっぱり、今までちょっと優しくし過ぎたみたいですね。星川さん、こうされたほうが感じるみたいだ」  仰向けに寝かされている為、すぐ近くまで顔が近づく。見ていられなくて顔を背けると、胸の尖りを強く引かれた。 「うぅっ! 」 「ほら、痛くすると中が締まる。やっぱり俺、星川さんを満足させられてなかったんですね」  少年のように屈託のない笑顔を向けて告げられて、湊は首を振りたくなるが、そうする間もまく挿入(はい)ったままのペニスで中を擦られる。 「んっ、んぅっ」 「ほら、腰が揺れてる。前もこんなに…… 」  戒められたペニスの先で、尿道口がヒクヒクと開閉しているのが、自分自身でも良く分かった。先走りの透明な液を指の先で掬い取り、それを胸へと擦り付けながら、更に抜き差しを激しくされれば、湊の頭は真っ白に染まり、快楽の渦に飲まれてしまう。

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