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第17話

「もう腰が揺れてる。ここ、もっと太いので擦って欲しい? 」 「……も、もう…… ゆるして。こんなこと…… やめてくれ」 「まだそんなこと言う理性が残ってるんだ。ホント、湊は頑固だよな」 「やっ、あっ…… ああっ! 」  ズルリと指が引き抜かれ、替わりに挿入されたものがホースだと理解する前に、近くにある蛇口を海里の掌が押すのが見えた。そして、同時に中へと注がれる熱に体中へと鳥肌がたつ。 「ゔっ…… くぅっ」 「綺麗になったら、今度は俺の便所として使ってやるよ」  そう耳元へと告げてくる声に、心の中でなにかが壊れる音がしたのが、鮮明に思い出せる湊の最後の記憶となった。  それから、何度も湯を体内へと注がれ排出を促されたが、その間、自分が何を口走ったかは分からない。だけど、海里が「よし」と言うまで出すのを我慢できたら、頭を撫でて褒めて貰えたのはうっすらだけれど覚えている。 (嬉し…… かった)  粗相をすれば容赦なく、尻や背中、それから太股をパドルで打ち据えられたから、時折見せる優しさに…… 無我夢中で縋り付いた。 (最低…… だ)  綺麗に幕を引きたかったのに、本当に、救いようのない、馬鹿で愚かな事をした。 (消えたい。こんな、生き恥を晒すくらいなら、いっそこのまま……) 「湊、起きてるんだろ?」  夢うつつの状態の中、際限なく自分自身を心の中で罵倒していると、耳元から抑揚のない海里の声が聞こえてきた。  どうやら、意識を無くしてしまった間に、ベッドへと連れてこられたらしく、サラリとした布の感触を痛む背中にはっきりと感じる。この状況では、無視して眠ったふりをしていても、きっと海里は許さないだろう。 「……っ」  勇気を出して瞼を開くと、至近距離に端正な海里の顔があり、湊が息を飲み込んだ途端、強い力で手首を掴まれ顔の横へと押しつけられた。 「手、縛らないけど、ここから動かしたら打つから」  酷薄な笑みと冷たい声音に異論を唱える事など出来ず、海里が手首を解放しても、湊は腕を動かせなかった。 「せっかく綺麗にしたから、言ったとおり使ってやるよ」  体を起こした海里に脚を持たれて肩へと担がれても、諦めに似た感情しか、湊の中にはわいてこない。

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