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第一章・3
長ったらしい礼拝の時間の終了と同時に、ルドーニはヴァフィラの元へと向かった。
汗は拭いているのか、食事はちゃんと摂っているのか、シーツは替えているのか、などなど様々な心配事が頭の中を駆け巡る。
いろいろと世話を焼いては煙たがられることが常だったが、それでも気にせずにはいられない。
たいしたことありませんように、との願いを込めてヴァフィラの私宅の扉を開けた。
静かだ。
人の気配がない。
いや、人が動いた空気の後がない。
物音を立てないように気をつけて屋内へ入り、寝室のドアを小さく開く。
「ヴァフィラ?」
誰だ、という声を待ってみたがそれも聞こえてこない。
「ヴァフィちゃん!」
思い切ってドアを大きく開き、すばやくしゃがむ。
だが、いつもなら景気よく飛んでくるはずの枕がルドーニを襲う事もなかった。
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