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第一章・4
寝室の窓にはカーテンが閉め切られ、細く外の陽光が差し込んでいる。
かすかな日の光を頼りに寝台を見てみると、確かにそこにはヴァフィラが横たわっていた。
静かに、側によってみる。
寝ているのかと思っていたが、うっすらと瞼は開いている。
「ご機嫌いかが? ヴァフィちゃん」
できるだけ軽い口調で話しかけてみる。
待っていた返事は「何しに来た」「ヴァフィちゃんと呼ぶのはやめろ」「さっさと帰れ」こんなところなのだが、今回は少し勝手が違っていた。
「ルドーニ……」
聞き取れないほどの弱々しい声。身じろぎもしない。
「ヴァフィラ? 大丈夫か、おい」
額に手を当ててみると、じっとりと汗がにじんでいた。
しかも、とんでもなく熱い。
「大変じゃねえか」
「しばらく休めば……治る……」
その後続けて何か言おうとしたらしいヴァフィラだが、力尽きたようにひとつ息をついた。
いつもの憎まれ口も叩けないほどの重体だ。
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