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第一章・15
それから何をしただろうか。
掃除をすませて、洗濯物を取り込んで、たたんで、ワードローブへ片づけて。
スープを温め直して、温め直したスープは匂いが気になったのでハーブを摘みに外へ出て……。
そんなこんなで寝室へ入るのがちょっと、ほんのちょっと遅くなっただけなのだ。
ほんの少し、遅くなっただけなのに。
「ヴァフィラ!?」
見るとその顔は紙のように白く青ざめ、かちかちと歯を鳴らして震えている。
「寒い……」
ヴァフィラは、両腕で自分の体を抱きこむようにして小さく丸くなっていた。
ルドーニは慌てて額に手をかざしてみた。
熱はない。
いや、熱がないどころか冷たい。
ヴァフィラの体温は急激に下がり、平熱を割り込んで低く低く失われつつあった。
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