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第一章・17

「ヴァフィラ」  ルドーニはヴァフィラにぴったりと肌を合わせ、自分の体温で彼を温めはじめた。  両腕でかき抱き、脚を絡ませた。  甘い香りと、絹のように滑らかな肌。  抜群の抱き心地だった。  だが、今は劣情を感じている場合ではない。 「ヴァフィラ、死んじゃだめだ」  ルドーニは必死だった。  起きてくれ。  そして、いつもみたいに憎まれ口たたいてくれ。  ふと、背中に触れる感触を覚えた。  ヴァフィラが、ルドーニの背中に腕をまわしてきたのだ。  しっかりと抱きつき体を摺り寄せ、その体温を求めてしがみついてくる。  ルドーニは、一層強くヴァフィラを抱きしめた。  氷のように冷たい体だ。  体温が、どんどんヴァフィラに奪われていく。  構わない。  俺の体温全部くれてやる。  だからどうか無事で。  ルドーニは祈りに似た気持ちを持って、ヴァフィラを温め続けた。

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