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第一章・19
「気が付いたか、ヴァフィラ。よかった」
「ルドーニ」
ぼんやりと霞のかかったような意識に、焦点が合ってきた。
ここは、私宅。私の、寝室。
そして、ベッド。それから、ふたり。ふたりは、裸。
「わああッ!?」
「ギャッ!」
ヴァフィラはベッドからルドーニを蹴りだし、寝具を顎まで被って慌てふためいた。
「こっこれは一体!? まさか、まさかまさか!?」
切れ切れの、しかもぼんやりとしか思い出せない記憶を、ヴァフィラは必死で手繰った。
だが、思い出されることは思い出したくない事ばかりだった。
服を脱がされ裸になって……唇を奪われて……そして今、全裸で同衾!?
「待った! ヴァフィちゃん、それは誤解! 俺は何にもやましいことは!」
「黙れ! ルドーニ、お前何てことを!」
光速の勢いで枕が飛んできた。
「痛って~」
ルドーニは枕を拾い上げると、ベッドへ歩み寄った。
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