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第一章・20
「来るな! 近寄るな!」
寝具を頭まですっぽり被ってしまったヴァフィラを、ルドーニはポン、と枕で軽く叩いた。
「もうすっかり元気だな。よかった」
ヴァフィラは、そっと顔を出しルドーニの様子を伺った。
優しいまなざしだ。
その瞳の奥には、確かにぎらついた劣情はまったく見られない。
もそもそと動き、自分の体を確かめてみる。
特に情事の痕跡も見られない。
「本当に、何もしていないのだな?」
「ホントだって。信じてくれよ~」
「だったらどうして」
二人して裸で抱き合ってベッドの中にいたのだ、と問いかけようとして口ごもった。
恥ずかしくてとても口に出せるような言葉じゃない。
そうこうしているうちに、ルドーニはさっさと服を着てしまった。
新しい寝着をヴァフィラに手渡し、さっさと寝室から出ていってしまった。
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