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第一章・21

「何なのだ、一体」  寝着に袖を通しながら、ヴァフィラはさらに記憶をたどってみた。  暗闇の中にいたはずだ。  冷たく、暗い闇の中。  そこは一面氷で覆われ、とてもとても寒いところだった。  このまま凍えて死んでしまうのだと思っていたが、ふいに暖かな光が、太陽のような香りが私を包み……、それから……。  は、とヴァフィラは思い当たった。  ルドーニは、私を温めてくれたのだ。  瀕死だった私を、死の淵から引き上げてくれたのだ。 「お待ちどお様~♪」  ルドーニが寝室のドアを開けると同時に、おいしそうな香りが部屋いっぱいに拡がった。 「特製スープですよ~。たくさん食べてくれよな」 「欲しくない!」  わざとぶっきらぼうに答えたヴァフィラだったが、言い終わると同時におなかがぐうと音を立てた。 「おナカは欲しいって言ってるぜ?」

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