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第一章・23
「おかわりお持ちしました♪」
にこにことスープ皿を差し出すその手に、ヴァフィラはそっと自分の手を重ねた。
「ルドーニ」
驚いて目を丸くするルドーニに視線を合わせ、その後ちょっとだけそらせて小さな声で、だがはっきりと口に出した。
「……ありがとう」
その言葉に、丸く開いた眼に加えて口までぽかんと丸く開けたルドーニだったが、すぐに満面の笑みで応えた。
「どういたしまして」
ありがとう。
初めての言葉。感謝の言葉。
ルドーニは寝室のカーテンをさっと開けた。
明るい陽光が室内を照らし出す。
ふたりの間にも、温かな光が差し込んでいた。
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