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第二章 お熱いのはお好き?

 正午近く。  ヴァフィラの私宅からは、美味しそうな香りが漂っていた。  鼻歌を歌いながら、ルドーニがキッチンから出てくる。  テーブルに清潔なクロスを。  きれいに磨き上げた銀のフォークを。  そうそう、花も一輪飾ろう。  セッティングが終わり、いよいよ料理を火から下ろしたところで扉が開く音がした。  ヴァフィラが帰ってきたのだ。 「お帰りなさい、あなた~♪ お風呂にする? ごはんにする?」 「……よせ」  笑うどころか、露骨に嫌そうな顔をするヴァフィラ。  それでもルドーニは上機嫌だった。 「ちゃんと帰ってきてくれたんだな。嬉しいぜ」 「お前が、どうしてもと言うから」

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