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第二章・2
バラ園の手入れに取り掛かると、ヴァフィラは時を忘れる。
丸一日、食事もとらずにもくもくとがんばる。
その体を案じたルドーニは、最初は定時になるとに食堂に誘いに来ていたが、やがてヴァフィラの私宅で料理の腕を振るい始めた。
栄養のバランスを考えた、おいしい手料理だ。
食堂へ行くのは面倒だからとよく断っていたヴァフィラも、直接胃袋を心地よく刺激するよい香りには心動かされたらしく、頃のいい時刻になると家屋に戻ってくるようになっていた。
「今日はラザニアですよん」
皿を持ったルドーニが台所から出てくると、よい香りは最高潮に達した。
心の中でわくわくしつつも、決してそれを顔には出さず、ヴァフィラは黙って席に着いた。
祈りの言葉も早々に、ラザニアとやらを一口。
(おいしい……)
世の中には、まだこんなに美味しい料理があったのかと、ルドーニにはいつも驚かされる。
温かさも上々。
熱すぎず、ぬるすぎず、絶妙の口当たりだ。
だがしかし。
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