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第二章・6

 ほぅ、とため息をついて唇を離したときにはもう、あの忌々しいヒリヒリする痛みは消えていた。  食事が済んで、ヴァフィラは美味しかったと言い残し、またバラ園へと出かけていった。 「美味しかった、か」  美味しかったのは、ラザニア?   それとも……。  食器を片付けながら、ひとりでに浮かんでくる笑顔のやり場に困るルドーニだった。

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