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第三章・2
ヴァフィラは身じろぎをして、まだ一人で飲んでいるであろう彼の姿を探した。
少し離れたテーブルでルドーニはグラスをつまんでぶら下げたまま、こちらを向いていた。
その表情に、はっとする。
真剣なまなざし。
思わずヴァフィラは眼を逸らした。
顔が赤くなる。
困惑する。
いつものお茶らけたルドーニは、そこにはいない。
いるのは、ただひたすらに自分の事を真剣に見つめる一人の男。
こんなルドーニを見るのは、これが初めてではない。
時折、気づくとその熱いまなざしが自分に注がれていることを感じる時があった。
そんな時は眼を逸らし、気づかぬふりをする。
なんだか怖い。
こんな風に、誰かに真剣に見つめられることには慣れてない。
目を覚ましたことに気付かれたのか、ルドーニが席を立ち近づいてきた。
心臓の鼓動が速まる。手が汗で湿る。
「寝室に」
ルドーニは、そっと毛布を剥がすとヴァフィラにそう言った。
「ちゃんとベッドで休め。風邪ひくぞ」
静かに、頬に唇が触れた。
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