32 / 459
第三章・3
ヴァフィラの心臓は、口から飛び出しそうになるまで激しく鼓動を打ったが、ルドーニはそれだけ言うと再びテーブルへ戻り酒宴の後片付けを始めた。
ヴァフィラは逃げるように寝室へ飛び込み、ベッドへもぐりこんだ。
顔が赤い。体が熱い。心臓が高鳴る。
「……ルドーニ」
その名を口にしてみる。
全身の細胞が、一斉に騒ぎ出す。
毛布を頭まで被って、体を丸くした。
何だろう。
この気持ちは何だろう。
この身のざわめきは何だろう。
寝室に、ベッドに入りはしたが、ヴァフィラはしばらく寝付けなかった。
ともだちにシェアしよう!