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第三章・8

 あぁ、またあの顔だ。  真剣なまなざし。  熱い視線。  眼をそらしては駄目だ。  ヴァフィラは、がんばってルドーニの視線を受け止めた。  眼だけで交わす時間。  沈黙は永遠のように長く感じられた。  ふと空気が動き、ルドーニが立ち上がってこちらに寄ってきた。 「寝室に」  ルドーニはそっと毛布を剥がすと、ヴァフィラにそう言った。 「ちゃんとベッドで休め。風邪ひくぞ」  後は、頬にキスが来るはずだ。  だがヴァフィラはそれを手のひらで阻むと、ルドーニの腕を掴んだ。  高鳴る胸を押さえて、ようやく口を開いた。

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