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第三章・10
「まぁ、確かに不治の病かもしれないなぁ」
「やっぱり!」
かわいそうに、ヴァフィラ。
大真面目に真に受けて震えている。
違うのだ。
病は病でも、世間一般でいうところの、普通の病気とは違うのだ。
「心配するな、ヴァフィラ。今すぐ死ぬとかそういう話じゃあねえから」
「でも」
「いいから、もう寝ろ。俺は後片付けを」
「逃げるな!」
目にうっすらと涙まで浮かべてすがってくるヴァフィラを、ルドーニは心底愛おしく思った。
心配かけてすまない。
だが、同時にこの上なく嬉しかった。
いつの間にか、ここまで自分の事を気にかけてくれるようになっていたのだ。この孤高の魔闘士は。
「確かに、特効薬はお前だよ。ヴァフィラ」
「どういうことだろう」
きょとんとしているヴァフィラの顔は可愛らしかった。
だが、彼は彼なりに真剣なのだ。
眼を見ればわかる。
カマトトぶってるわけじゃない。
本当に解からないのだ。
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