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第三章・11

 ルドーニはにっこり笑って、重大な事をさらりと言ってのけた。 「あぁ、これはな、恋の病ってヤツだ。俺はもう、お前の事が好きで好きでたまらなくって、どうしようもないところまで来ちゃってるんだよ」 「……!」  一瞬にして、ヴァフィラの顔が真っ赤に染まった。  あぁ、愛らしい。  食べてしまいたいくらい愛おしい。  そう、彼を自分のものにできれば、このどうしようもない心の乱れも少しは落ち着くだろう。  だが、それはかなわぬ事だよな、とルドーニはヴァフィラの頬に、そっと口づけを落とした。  美しく気高く、清流の中を優雅に泳ぐ魚のようなヴァフィラ。  かたや闇の中を這い回り、獲物をあさる俺のような男が、その身を心を穢すことなど許されるはずもない。  ヴァフィラが応えてくれるはずもない。

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