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第三章・13
夢を見てるんじゃないか、とルドーニは思った。
とうとうベッドの前まで来てしまった。
いいのか、ヴァフィラ。
今ならまだ間に合うぞ?
だが、ヴァフィラは自分からベッドに腰を下ろした。
そのまなざしは、真剣そのものだ。
いつもなら、こちらがそんな眼をしてヴァフィラを見つめていたのだが。
そっと顔を寄せると、その美しい瞳は静かに閉じられ口づけを受け入れた。
ヴァフィラの心臓は、早鐘のように打っていた。
体が震える。
気が遠くなりそうだ。
だが、その心はまっすぐ一方向を向いていた。
私は、ルドーニを愛してしまったのだ。
今回の一件で、ようやく自覚した。
彼は、もう私にはなくてはならない存在。
かけがえのない人なのだと。
その彼が、私を求めている。
応えたかった。
身も心も、すべて捧げたかった。
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