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第四章・3
「ライファよ、お前はどう思う。ヴーヴェスはどのように取り計らおうか」
「はっ。それは……」
居眠りをしていたところを、突然教官に指されたようなものである。
すぐにすらすらと言葉が出てくるとは思えない。
しかも、ライファである。
器用な真似は、誰より苦手な男である。
ルドーニは助け船を出すことにした。
「女王陛下、まずはライファの報告書に目を通したいと思います。彼は昨日帰還したばかり。ヴーヴェスの、現状の把握が最優先かと存じます」
うん、と女王をはじめ周囲のすべてが首を縦に振った。
「よかろう。ライファよ、明日までにまとめよ。どんな些細な事でもかまわん。できるだけ詳しく、報告してほしい」
女王に向けて頭を垂れるライファの顔は見えないが、ほっとした表情をしているに違いない。
ひとつ貸しができたな、とルドーニは心の中でクスリと笑った。
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