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第四章・5
長い会議がようやく終わり、解放されたヴァフィラはうんと背を伸ばしながら私宅へと向かっていた。
いつもならルドーニが隣で不毛なその内容をぼやいているところだが、今日はそのまま女王に別件で引き留められ一緒ではない。
少々物足りなくなってきた時、背後から駆け寄ってくる足音が聞こえた。
ルドーニが用件を済ませて追ってきたのか、と振り向くと、そこに彼の姿は無く、代わりにライファが笑顔を向けていた。
彼はこれから報告書を書かねばならないというのに、わざわざ私を追ってくるとは。
何か緊急な用だろうか、とヴァフィラは怪訝に思った。
「ヴァフィラ、いろいろと尋ねたいことがある」
「ヴーヴェスでは気の毒したな、ライファ」
先ほどまで、会議の主題の中心にいたライファ。
カーラーンからその地を、大切な仲間を守りきれなかった自責の念からか、終始押し黙ったままだった男を、ヴァフィラはいたわった。
人一倍正義感の強い男だ。さぞ辛い思いをしたに違いない。
だが、ライファは思いのほかさっぱりとした顔つきをしていた。
「彼らの死は、決して無駄にはしないつもりだ。今の俺は充分気が満ちている。心配ご無用」
凛と前を向いたまなざし。
さすが若き猛虎と呼ばれるだけはある、とヴァフィラは改めてライファを見直した。
しかし、その凛々しい顔が、ふと緩んだ。
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