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第四章・6

「でな? 尋ねたい事なんだが」 「何だろう」  私に解かる事ならば、なんなりと、とヴァフィラは笑顔を向けた。  その笑顔は、次のライファの言葉で瞬時に凍り付いたが。 「お前、ルドーニといい仲になってるだろ? もう、褥は共にしたのかな?」 「なッ……!」  馬鹿な、誰があんな男と、何を根拠に、とヴァフィラは口をぱくぱくさせたが、ライファは平然と言ってのけた。 「何も隠さなくても。先だって、祭事用の神殿の中庭でキスしてたのを見たぞ」    あああああ、とヴァフィラは心の中でうめいた。  昨日、夕日を共に見送りながら安らかなひとときを過ごしたことはまだ記憶に新しい。  しかし、どうりであの時のルドーニ、やたらしつこくちゅっちゅちゅっちゅとキスを。  これは絶対のぞかれていることを承知の上で、やっていたに違いない。  にやけたルドーニの顔が目に浮かぶようだ。  焦るヴァフィラをおいて、ライファはさらに恐ろしい事をにこにこと言ってきた。 「秘密かな? では、この事を皆にバラされたくなければ、俺の質問に答えてくれないかな」  ヴァフィラは観念した。  邪気のないライファの眼。  おとなしくその質問とやらに答えれば、言葉通りに秘密は固く守ってくれるだろう。  できるだけ平静を装い、年上の威厳を崩さず対峙した。

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