67 / 459

第四章・9

   ヴァフィラは、水浴を好んでいた。  浴びるだけではなく、その身を全て水の中へと沈めてしまうのだ。  バスタブに冷たい清水を張り、ヴァフィラは静かに体を浸した。  ほぅ、とため息をつき、水の心地よさに身を、心をゆだねた。  瞑想に耽ろうと眼を閉じる。  だが心に浮かんできたのは、先ほどのライファの突拍子もない質問だった。 『吸うとか、舐めるとか、齧るとか、いろいろあるだろ? お前はどれが好きかな』  自分の胸に、眼を落としてみる。  桃色の、小さな尖り。  ルドーニの唇が、舌が、歯先の感触が浮かんでくる。  ヴァフィラは、震える指先でそっと乳首に触れてみた。  ルドーニの動きをなぞるように、いじってみる。 (ここを撫でて)……指腹で乳輪に触れる。 (舌で舐め上げて)……尖りを下から上にすくう。 (唇で挟んで……)指で軽くつまむとルドーニの歯先の感触が呼び起された。

ともだちにシェアしよう!