68 / 459

第四章・10

「んッ!」  鋭い感覚が背中を走り、ヴァフィラはぞくりと身を震わせた。  ぱしゃん、と水音がたつ。  冷たい水に浸かっているというのに、体は熱くなる一方だ。  ためらいながら、ヴァフィラはそろそろと手を体の中心へと伸ばしていった。  勃ちあがりかけているそれに触れようかとした瞬間、表戸を開ける音がした。 「ヴァフィラ、戻ってるか?」  ルドーニ!  ヴァフィラは、あたふたと水の中でもがいた。  ばしゃばしゃと派手な水音がたち、その音を聞きつけてルドーニがバスルームへと入ってきた。 「おっ、いい眺め♪ 俺も一緒に入ろうかな~」 「馬鹿を言うな!」  ぽん、と投げられたタオルを濡れた手で受け取り、ヴァフィラはバスタブから出ようと立ち上がりかけた。  しかし、そこにはニヤケたルドーニが立っている。  まさか、ここで……。  自分の発する熱で、水が湯になってしまいそうだ。  かろうじて理性を取り留め、ヴァフィラは声を喉から押し出した。

ともだちにシェアしよう!