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第四章・10
「んッ!」
鋭い感覚が背中を走り、ヴァフィラはぞくりと身を震わせた。
ぱしゃん、と水音がたつ。
冷たい水に浸かっているというのに、体は熱くなる一方だ。
ためらいながら、ヴァフィラはそろそろと手を体の中心へと伸ばしていった。
勃ちあがりかけているそれに触れようかとした瞬間、表戸を開ける音がした。
「ヴァフィラ、戻ってるか?」
ルドーニ!
ヴァフィラは、あたふたと水の中でもがいた。
ばしゃばしゃと派手な水音がたち、その音を聞きつけてルドーニがバスルームへと入ってきた。
「おっ、いい眺め♪ 俺も一緒に入ろうかな~」
「馬鹿を言うな!」
ぽん、と投げられたタオルを濡れた手で受け取り、ヴァフィラはバスタブから出ようと立ち上がりかけた。
しかし、そこにはニヤケたルドーニが立っている。
まさか、ここで……。
自分の発する熱で、水が湯になってしまいそうだ。
かろうじて理性を取り留め、ヴァフィラは声を喉から押し出した。
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