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第四章・11
「出て行け」
「何だよ。ハダカ見せてくれよ」
「出て行け!」
はいはい、と素直にバスルームから出て行くルドーニ。
ヴァフィラは拍子抜けした。
ここでそのまま、との淫らな妄想が頭の中でぱちんとはじけ、ぶんぶんと首を振った。
(私は一体どうしてしまったのだ)
水とともに劣情も拭き取ってしまう勢いで、ごしごしと強く体をこすり大きく深呼吸をした。
着衣を済ませ、部屋に戻るとルドーニは長椅子でくつろいでいた。
体の芯は、まだ疼いている。
ヴァフィラは、まともにその顔を見ることができなくなっていた。
ルドーニは、そんな彼の変調を目ざとくとらえた。
心なしか、頬が赤い。
何やら落ち着きがない。
また、体内の毒がヴァフィラに悪影響を?
熱があるのか、とルドーニは彼の額に手を当てた。
びくり、と身をすくめるヴァフィラだったが、その手を振り払いはしない。
厚い、広い大きな手。
この手が、私の髪を、肌を滑る心地。
体をかき分け、弱点をいじめてくるその器用な指先。
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