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第四章・14
こんな時くらい素直に?
ヴァフィラは、ルドーニの言葉を頭の中で繰り返した。
「やりたいんだろ? 体、疼いてたまんないんだろ?」
「わッ、私は別に!」
むきになって喰ってかかったヴァフィラだったが、ルドーニの言うとおりだ。
身も心も、もう我慢できないところまで来てしまっている。
「別に? そっか。じゃあ、いいんだな? 俺、このまま帰っても。しばらく会えなくなるんだぜ? それまで、我慢できる?」
こぶしを握り、小さく震えているヴァフィラ。
さすがにこれ以上いじめるのはかわいそうだ。
そう思いかけた時、ヴァフィラが長椅子のルドーニの横に腰かけてきた。
ぎこちなく体を摺り寄せ、密着してくる。
「どうしてほしい?」
そんなヴァフィラの瞳を覗き込みながら、ルドーニは優しく問うた。
「……キスを」
ヴァフィラの言葉に応え、ルドーニはそっと唇を重ねた。
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