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第五章 ソネット

 ヴァフィラの周囲は、喜びに満ちた人々であふれかえっていた。  歓喜というより安堵。  幸福。  安らぎ。  ヴーヴェスへ遠征していた兵士たちが、帰還したのだ。  愛する息子の、夫の、恋人の無事を喜ぶ女たちは笑い、泣き、抱擁して男たちを迎えた。  人目もはばからず、口づけを交わす恋人たち。  ヴァフィラは、その姿に口の端を緩ませた自分に気づいた。  柔らかな笑みがこぼれる。  ほほえましい、と感じたのだ。  私も変わったな、と思う。  以前なら、ふしだらな、と眉をひそめたことだろう。

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