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第五章・11

 腕を引いて、体を寄せた。  抵抗の色が全くない。  そのまま口づけた。  互いに、すぐに舌を絡め、激しくむさぼり合った。  長い、深いキス。どちらのものとも知れない唾液があふれ、顎を伝う。  ようやく唇を離したとき、ヴァフィラの衣服はいつのまにかすっかりほどかれ、緩められていた。  そのまま寝室へ。もつれるようにベッドに身を沈め、二人は強く抱き合った。  口づけ、耳を食み、首筋を強く吸ってくるルドーニは、いつになく荒々しい。  合間にせわしく、好きだ、愛してると囁いてくる声に、ヴァフィラは体だけでなく心も熱くなった。 「私もだ。私も好きだ、ルドーニ」  ヴァフィラのその言葉に、ルドーニは我に返った。  危ない危ない。  欲望に任せて、ヴァフィラを手荒く扱ってしまう所だった。  ここは、サロランニなのだ。  俺はもう、ヴーヴェスにいるわけではないのだ。  ルドーニは、にこと笑うと、今度はゆったりと口づけた。 「俺は、その何倍も愛してるよ。ヴァフィラ」  む、とヴァフィラは引っかかった。  まただ。  私が好きだと言うと、すぐそうやってはぐらかす。

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