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第五章・22
煙草を揉み消し、ルドーニは再び寝室へ入った。
体に煙の匂いが染みつくことを嫌うヴァフィラのために作られた、新しい自分のルールだ。
果てたまま気を失ってしまったヴァフィラの体をタオルで清め、汚れたシーツを替えた。
シーツを替える際、長椅子にその身を移されてもヴァフィラはぴくりとも動かず、どこか遠くへ行ったままだった。
少し心配になりかけた時、ようやく長い睫がかすかに震えた。
「ヴァフィラ?」
ゆっくりと瞼が開かれ、その美しい瞳に光が戻った。
「ルドーニ」
軽く、キスを落とす。
にっこりと微笑むヴァフィラ。
まるで愛らしい妖精だ。
「……」
何か囁いている。
その甘やかな声を聞きもらすまいと、ルドーニはヴァフィラに顔を寄せた。
「何?」
「私、が」
「うん?」
優しく、髪を撫でた。
「私が、どれほどお前の事が好きか、解かったか?」
再び、にっこりと微笑むヴァフィラ。
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