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第五章・23

 まったく、その強情さときたら! 「解かった。俺の負けだ」  ルドーニはそう返すと、くすくすと声を立てて笑った。  ひとつうなずき、ヴァフィラは今度は自分の方からキスをくれた。  あぁ、かなわない。  今も、この先も、たぶんずっと。  二人でこうやって、不器用なソネットを綴りながら歩いてゆくのだろう。   ルドーニの心は、ようやく戦地ヴーヴェスより帰還した。

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