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第六章 春風

 毒を宿した、この特殊な体。  内に入り込む異物には、時にはたとえそれが食物であったとしても、あれほど拒絶を起こしていた体なのに。  あぁこれは、この人のものだけは、こんなにも全霊を込めて受け止めている。 「ヴァフィラ、いくぞ。いいか?」  ルドーニの言葉に、ヴァフィラの腕はきつく彼の背にしがみつく。  ゆっくりと、ていねいに突いていたルドーニの腰が、深く深くヴァフィラの体内に穿たれた。 「あ、あぁ。あああぁ!」  ヴァフィラの甘い悲鳴に重なり、ルドーニからその情愛の証がたっぷりと注がれた。  震え、荒く息をつくヴァフィラを抱きしめ、髪を優しく撫でてくる大きな手。  それは時折口づけをはさみながら、彼の呼吸が落ち着くまでなだめ続けてくれる。  ヴァフィラの体内から立ち去る時、ルドーニはいつも名残惜しいと感じていた。  ずっと、ひとつになっていたい。  このまま、ひとつに溶け合ってしまいたい。  せめて、もう一度……。  

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