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第六章・7
ヴァフィラは、自分の手のひらをじっと見つめた。
オーラの力によって、ふわりと浮かびあがってくる深紅のバラ。
朝日を浴びて、その柔らかな花びらはまるで潤んでいるかのようだ。
だが、生み出されたそれに毒性はなかった。
「もう大丈夫だ」
星の巡りでオーラが異常に高まっていたこの頃は、普通のバラを生み出そうとしても毒をはらんだものが現れていた。
だが、もう大丈夫。
ちゃんと自分で制御できるまで、オーラは落ち着いた。
ルドーニに会いたい。
思えばすいぶん長いこと、まともに顔を合せていない。
顔が見たい。話がしたい。
そうだ、今夜は夕食に誘ってみようか。
杯を交わし、夜空をながめ、それから……。
臥所をともに、と考えて頬を染めた。
あぁ、なんてはしたない。
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